長子が卵アレルギー、私が小麦アレルギーがあり、二人とも負荷試験を受けたことがあるので体験談をまとめました。
最近は負荷試験中の事故のニュースもあり、不安になっている方もいらっしゃるかとおもいますので参考になれば幸いです。
アレルギー検査って?
アレルギーって血液検査でわかるんじゃないの?
食物アレルギーの検査と聞いた場合、多くの人は血液検査を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際に血液検査では、血液の中にアレルギー物質に反応する抗体がどれほどあるかを把握することができます。そして確かに血液検査の結果が悪いほど、その食物アレルギーである可能性は高いのですが、一方で検査結果が悪い=アレルギーの程度が重い(逆に検査結果が軽い=アレルギーが軽い)とは限らないのです。
アレルギー検査で数値が低くても激しいアレルギーが出てしまうこともあれば、アレルギー検査で数値が高くても軽い腹部の違和感程度で済む人もいるということです。
なので、アレルギーの判断も血液検査の結果だけからは食物アレルギーと基本的には判断できません。食物アレルギーの診断は、実際に食品を食べる試験、つまり負荷試験で明らかな症状(胃腸症状、蕁麻疹、血圧の低下、咳、呼吸困難など)が出たときに行われるのが基本です。
じゃあアレルギーの程度はどうやって調べるの?
「実際に食べる(もしくは使う)」しかありません。
これが「経口負荷試験」ですね。(化粧品などだと皮膚に負荷して試験します)
極端な話をすると血中に抗体があっても、口から入ったものが体内で消化・分解・吸収される工程のどこかで血中にアレルゲンがとりこまれなければ反応は起きません。
子供のほうが比較的アレルギーをよく発症し、一方で成長とともに治ってくるのは、どうもこの「分解」「吸収」の部分が影響しているらしいです。
・分解が十分に行えない。
・栄養を吸収する小腸の網目構造が大人のものよりザル。
などが理由として言われていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。
成長すれば、分解性能が上がりますし、小腸の網目も細かくなって、簡単にアレルゲンを通さなくなっていきますので、血液検査結果は改善してないけど、食べれるようになった!となることもあるようです(諸説あります)。
また最近の研究では、皮膚の炎症部分からアレルゲンが入ると、アレルギーを引き起こす抗体が作られてしまいやすくなるが、口から食物として摂取することでアレルギーが緩和される、というような説もあります。
※あくまで説ですので、自己判断で勝手にアレルゲンを食べたり与えたりしないでください。経口負荷はギリギリアレルギーを起こさない量を正確に管理して正しく行わなければ直ちに命に関わります!!(管理していても、睡眠不足、風邪をひいているなど体調が悪いとアレルギー反応が出ることもあります。それくらいセンシティブです)
経口負荷試験では、
・どの程度の量のアレルゲンに反応するのか
・どのような反応が出るのか
を確認するとともに、
・口からアレルゲンを摂取することでアレルギーを改善するための摂取量を探る
という目的で実施されることが多いです。
食べれる量を知って何になるの?
アレルギー出るのわかっているなら食べなきゃいいじゃない、と思われるかもしれませんが、一番怖いのは「誤食リスク」です。
どんなに食べないように避けていても、給食やお菓子などでついうっかりが起きないとは限りません。小学生になると特に一人で友達の家へ遊びに行ったりしますのでどんなに言い聞かせていても子供ですので食べてしまうことがあるかもしれません。
あってはならないことですが外食などで混入が起こってしまうかもしれません。
ですので、可能であれば少しでも食べれるようにしておくことがとても重要です。
もし本当にごく微量でも反応してしまう状態だったら。
不意に呼吸困難やショック状態をおこして死んでしまうかもしれません。
過去、ピーナッツアレルギーだった人物が、ピーナッツバターを食べた恋人と食べた直後ではないタイミングでキスをしただけでアレルギーを発症し、無くなってしまった例もあります。
危険を冒してまで負荷試験を実施する理由は、単純に食べれるようになりたい、という側面ももちろんありますが、こういった悲劇を避けるためでもあります。
もちろんそれでも残念ながら免疫寛容(アレルギー症状が起こらない状態)に至らない場合もありますが現状子供の場合で卵や小麦であれば80%程度の確率で寛容されるという結果が出ています。
(乳の場合はもう少し低めですが・・・)
あと、本当は食べられるのに血液検査でひかかったから!といって無用な除去をするのも控えられるかと思います。
食べられるってことは=アレルギーではないので除去は必要ないので・・・
試験は入院?日帰り?
数日間入院する場合もあれば、日帰り入院の場合もあります。
子どもの場合は、日帰り入院のことが多いようです。
ちなみに私は数日入院して試験をしました。理由は運動負荷が疑われる小麦アレルギーだったためです。以下に詳細を書きますが私のケースは10年以上前のものであり記憶違いがあったり今は試験法が違っていたりする可能性がありますのでご留意ください。
体験談1:運動誘発が疑われる小麦アレルギー(大人)
入院期間:4日間
アレルゲン疑い成分:小麦
初日:プリックテスト
初日はプリックテストをしました。
皮膚に専用の針で少量のアレルゲンを導入し、15分後に反応を見るテスト。アレルギーがあると比較対象(生理食塩水などが多い)よりも大きく腫れます。たまに刺した刺激だけで腫れる人がいるので、必ず比較対象を置くなどの工夫が必要な試験です。
小麦(パンを水に溶いたもの)、グルテン、スギ、エビ、ダニなどを検査。
結果小麦とグルテンの部分が直径50㎜近く腫れあがってしまい、この時点でかなり強度のアレルギーが予測されました・・・
その後、何かあったときに即時対処ができるように点滴(生理食塩水)、バイタル確認用器具を付けました。
こちらは退院までのお付き合いでした。正直ねずらかった(;'∀')
入院した部屋は普通の病棟の部屋で、隣のおばあちゃんが結構夜中に大変なことになったり対面の方と仲良くなったりしてあわただしい入院生活でした~。
2日目:午前運動負荷試験、午後小麦の負荷試験
午前中は運動負荷試験。
当時は踏み台昇降を10分だったか15分だったか・・・(記憶があいまいで申し訳ない)。どちらにしろ運動不足に私にはめっちゃきつかったのですが呼吸や心拍が上がりすぎないように気を付けなくては行けなくてそれも気を使いました。
バイタルを見ながら低負荷~中負荷になるように速度調整。
この試験をする意味は、自分の汗なんかに反応して蕁麻疹がでるコリン性じんましんの可能性を排除するためだったかと思います。
しっかり休憩して、お昼ご飯(当然小麦除去)を食べ、3時くらいから次の試験でした。
午後は小麦負荷試験。
自分で購入してきた(病院の売店で買ってきた)うどんを合計200g程度実食する試験でした。分量は正確に病院のほうで測ってくれます。
1回目は50g、二回目は50g、三回目は100gだったと思います。
各回30分時間をあけて食べました。
ベッドで安静にしての試験でしたが、この時症状は出ませんでした。
(ちょっともしかしたら小麦アレルギーじゃない?って期待した瞬間でしたがやっぱりそんなことはなかった)
この日は夜中に隣のおばあちゃんがベッドから上半身が落ちてカーテンの下からのぞいている、というホラー現象顔負けの事件が起こったため、夜よく眠れませんでした(;'∀')
最初マジ物のユウレイかと思ったヨ・・・
すぐナースコールしましたけどね(/・ω・)/
3日目:小麦と運動負荷試験
朝から小麦を摂取して運動負荷をする試験を受けました。
試験の内容は簡単で、小麦を摂取した後に初日にやった踏み台昇降運動をする、というものです。
踏み台昇降中は何ともなかったのですが、入院する部屋に帰ってから変化が・・・
体がかゆい。
あ、これ蕁麻疹が出そうだな、と思ったら案の定ポチポチと発疹が。そうこうしている間に喉がヒューヒュー言い出して、咳も出始めて。
すぐにナースコールして、担当医がきて全身を確認すると蕁麻疹の地図が。なんかこの時は先生がたくさん来てました。大学病院だったし、運動誘発って当時はそこそこ珍しかったみたいで実例を見に来ていた様子でした(苦笑)。
すぐにステロイドを点滴に追加されて事なきを得ましたが
ああ~やっぱり、
っていう感じと
なんでこんな体になってしまったんだろう
って気持ちが半々だったことを覚えています。
この日の夜もよく眠れませんでした。
4日目:退院
1日様子を見て、ぶり返しや症状がないことを確認したのち退院しました。
入院費は正確には覚えていませんが6万円弱だったかと思います。
この後病院でもらったインフルエンザで地獄を見ましたがまぁそれは別の話ですね。
運動負荷試験がある場合はこんな感じでした。ただ、最近は入院期間は短くなる傾向になるようです。
体験談2:卵アレルギー、子の場合
初めての卵の試験では、全卵の1/16を食べることを目標にします。
(アレルギーの程度によって異なるかと思います)
日帰り入院で、早ければ午前中に試験が終了し、昼ご飯を食べて帰れる予定でした。
・30分固ゆで卵卵白 1/4
・調味料(初めて卵を食べるので)
固ゆで卵の卵白を看護婦さんに預けると正確に量を測って準備してくれます。
試験の流れ
午前9:30、試験開始。
3回に分けて耳かきの量くらいの卵白を食べていきます。
今回はトマトケチャップを付けて食べました(2歳だったので、好き嫌いもあり・・・)
最初は1/64量を食べました。
30分様子を見ますが何ともなさそう。このまま何も起こらないでくれ・・・と思いながら次は1/64量を再度摂取。
「ちょっとおなか痛いかも」
と言い出すも飽きてきてベッドから降りたがっていたのもあり、判断付かず。
おなかを少し触ってどこがいたい~?と聞くもいたくないと回答(どっちやねん)。
2歳児に症状を正確に訴えるのを求めるのは難しいのでここは親がつぶさに観察するしかないところですね。
お医者さんの判断としては普段食べていないものを食べたから精神的なものかもしれない、ということでさらに30分後、残りの1/32を摂取。
合計で1/16になりました。
こちらを食べた後も
「お昼ご飯まだかな~」
なんて言っていた子ですが15分ほどたったところで変化が・・・
唇の色が、悪い。
そして明らかにおなかが痛そうな様子。
ああ、これってもしかして。
アレルギー症状の発症と治療
最終摂取から30分でトイレにいきたい、と言い出した子。
最初は普通便がでました。
この日は快便の息子が珍しく朝してなかったのでそれでかな?と思ったんですが(先生も普通便であればアレルギー反応とは言えないとおっしゃっていた)、その後も腹痛が治まらない様子でトイレと部屋を何往復もする子。2歳児がおなかを抱えて何度もトイレに向かうさまは本当にかわいそうでした・・・(トイトレが完了していたのでオムツにしたがらなかったんです( ;∀;))
そうこうしているうちについに水様便が!!
お医者さんに報告すると「アレルギー反応の可能性が高い」ということでさらに経過観察をすることに。
同日に同じようにアレルギー検査で来ていた子たちがどんどん帰っていく中で子はベッドでぐったり。蕁麻疹や咳など下痢以外の症状は全く出ませんでしたが1時間程度たっても腹痛が治まらない。
改善が見られないので点滴で薬(ステロイド・・・)を投与。
点滴がきいたからか、たまごが体外に出きったからかは不明ですが10分ほどで唇の血色が戻りはじめ、「おなかが空いた~」と言い出すほどまで回復しました。
1時間ほど点滴を受け、その後さらに1時間くらい様子を見たのち帰宅しました。
試験後の結論
蕁麻疹や呼吸困難などの症状はないものの、水下痢がひどいので卵は全除去継続となりました。
※今は菓子パンで家庭にて、経口負荷をしていますがその話はまた別の機会に・・・
まとめ
いろいろ書きましたが、一番言いたいのは
血液検査はあてにならないよ!ってことです。
小さい子の採血は本当に大変でぐるぐる巻きにされたうえで注射をされるのは子にとってすごく苦痛なことだと思うのです。
それだけ痛い思いして例えば血液検査で陽性が出たとしても実際食べたら何ともない例もたくさんあるわけで・・・実際に症状が出た場合以外はしないほうがいいんじゃないかなぁと正直思っています。この場合も食べたものがはっきり確定できるのであれば血液検査をせずとも確定したらいいと思うんですよね。
一番あてになるのは実際に食べた時の反応なので、初めてのものは少しずつ、様子を見る、がやっぱり基本かなぁと思います。
また思い出したことがあれば追記します。
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